当社は、非線形有限要素法構造解析の技術系解析コンサルティング会社です。
下記の文献を参考にして、解析モデルを作成し、LS-DYNAの静的陰解法と動的陽解法でそれぞれ接触解析を行った解析例を示します。
解析モデルは、3次元モデルとして作成しました。モデルの寸法は参考文献に記載の寸法で作成しました。
変形の対称性を考慮してモデルは1/4モデルとして作成しました。
球圧子(インデンター)部分と鋼板部分について、要素はすべて六面体一点積分ソリッド要素を用いてメッシュを作成しました。
圧子と鋼板の材料特性については、文献では線形弾性体としてモデル化していますが、ここでは球圧子はセラミックス相当の物性を弾塑性体モデルで定義し、鋼板部分は弊社で作成したS45Cのデータを使用して解析を行いました。
駆動条件は、文献記載の位置に強制変位条件 0.5mm を与えました。
本問題を、ANSYS LS-DYNAの静的陰解法(Static Implicit)と動的陽解法(Dynamic Explicit)による2つの解析手法を用いて解析し、ミーゼスの相当応力および相当塑性ひずみ分布を比較しました。
Fig.1とFig.2に、強制変位 0.5mm を与えた時点における動的陽解法と静的陰解法でそれぞれ得られたミーゼスの相当応力分布を示します。
鋼板部の相当応力の最大値は、動的陽解法の場合は843MPaであり、静的陰解法の場合は832MPaとなりました。
圧子部分の相当応力の最大値は、動的陽解法の場合は 2346MPaであり、静的陰解法の場合は 1718MPa となりました。
Fig.3とFig.4に、強制変位 0.5mm を与えた時点における動的陽解法と静的陰解法でそれぞれ得られた相当塑性ひずみ分布を示します。
鋼板部の相当塑性ひずみの最大値は、動的陽解法の場合は12.3%であり、静的陰解法の場合は11.1%となりました。
Fig.5とFig.6に、対称面を可視化した断面のミーゼスの相当応力分布を示します。
Fig.7とFig.8に、対称面を可視化した断面の相当塑性ひずみ分布を示します。
以上の比較より、本解析例では、動的陽解法の結果と、静的陰解法の結果はおおむね一致したと判断しました。
なお,本事例はサンプルであることをご了承下さい。
参考文献:柴田 良一 :PrePoMaxではじめる実践構造解析「改訂版」, 工学社, p.119, 第5章, 2022年
Keywords: インデンター, 接触解析,ミーゼスの相当応力,相当塑性ひずみ
Tools: LS-PrePost ver.4.11, LS-DYNA MPP Win64 R16.0
October 24, 2025 create a new entry
Fig.1 動的陽解法/ミーゼスの相当応力分布図/固定レンジ表示(0 to 700 MPa)
Fig.2 静的陰解法/ミーゼスの相当応力分布図/固定レンジ表示(0 to 700 MPa)
Fig.3 動的陽解法/相当塑性ひずみ分布図/固定レンジ表示(0 to 0.100)
Fig.4 静的陰解法/相当塑性ひずみ分布図/固定レンジ表示(0 to 0.100)
Fig.5 動的陽解法/ミーゼスの相当応力分布図/固定レンジ表示(0 to 700 MPa)/対称面可視化表示
Fig.6 静的陰解法/ミーゼスの相当応力分布図/固定レンジ表示(0 to 700 MPa)/対称面可視化表示
Fig.7 動的陽解法/相当塑性ひずみ分布図/固定レンジ表示(0 to 0.100)/対称面可視化表示
Fig.8 静的陰解法/相当塑性ひずみ分布図/固定レンジ表示(0 to 0.100)/対称面可視化表示