当社は、非線形有限要素法構造解析の技術系解析コンサルティング会社です。
梁の曲げ問題を題材としたせん断中心に関する解析例をご紹介します。
梁の曲げ問題において、断面が対称でないと図心に荷重をかけても断面はねじれてしまうことがあります。断面に対称軸が2本ある場合はねじれませんが、そうでない場合は、せん断中心に荷重をかけないと断面に発生するせん断流の効果によりねじれてしまうことがわかっています。
以下に示すのは、対称軸上の図心に荷重をかけた場合とせん断中心にかけた場合の変形図です。荷重を図心にかけたときはねじれが発生ていますが、せん断中心にかけた場合はねじれ成分がキャンセルされてきれいな曲げだけの変形になることがわかります。任意断面のせん断中心の計算が必要な場合は弊社にお任せ下さい。
定義
せん断中心とは、任意の横断面形状の梁に任意の方向の横荷重が、任意の位置に作用するとき、梁は曲げとともにねじりを受ける。このとき荷重の方向は変えずにその位置を変えて梁が曲げだけを受けるようにすることができ、その場合ねじり変形は生じない。そのような位置をせん断中心という。
性質
横断面が直交する2本の対称軸をもつとき、せん断中心は図心に一致し、1本の対称軸をもつ場合、せん断中心はこの軸上にある。
荷重方向に対して非対称な薄肉断面においては、せん断力は周辺形状の接線方向に沿って分布する。
ねじり中心はねじりという現象から見た剛心ですが、せん断中心は非対称断面について、曲げが加わった場合に対して、使用する用語で、極めて限定された条件内で使用する用語です。
なお,本事例はサンプルであることをご了承下さい。
図 1 曲げ変形 図心への載荷 変形図(倍率20倍)
図 2 曲げ変形 せん断中心への載荷重 変形図(倍率20倍)