No.213 東日本大震災の地震動を用いた使用済み燃料プールのスロッシング解析

例題198をベースにして、使用済み核燃料プールに2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災で観測された強振動データを直接適用したスロッシング解析例です。
解析評価時間は240秒間とし、K-NETより取得した強振動データを適用して解析を行いました。使用した強振動データは、福島第一原発の北約30kmにある原町観測点でのデータのE-W、U-Dの2方向のデータを適用しました。
実際の福島第一原発の使用済み核燃料プールのスロッシング挙動が、ここで紹介した例題のような挙動になったのかどうかは率直に言ってわかりません。
プールの1辺は約10mと大きく、今回のような10秒20秒の長周期成分を多数含む振動には、溢水のリスクが高くなることが想定されます。
本件のスロッシングシミュレーションは、解析用の様々な配慮が必要であり、難易度が大変高く、また事故の性格上、結果の取り扱いが難しいシミュレーションになります。おそらく実務担当者は相当難儀するのではないでしょうか。
なお,本解析例は、解析技術開発の一環として行ったものでありサンプルであることをご了承下さい。

sloshing FSI ls-dyna spent fuel pool
図 1 核燃料プールのスロッシング挙動

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図 2 核燃料プールのスロッシング挙動

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