当社は、非線形有限要素法構造解析の技術系解析コンサルティング会社です。
LS-DYNAでは,熱伝導解析単体または熱+構造連成解析を行うことが可能です。
熱伝導解析と構造解析を連成する場合や非定常熱伝導解析を行う場合は,熱計算と構造計算(陽解法)において,質量密度が双方に関与します。そのため,熱側と構造側で使用するデータの単位に整合性をもたせなくてはなりません。No.1 と重複しますが,改めて単位について確認してみます。
一般に,構造計算側は,図面寸法が [mm] であることが多く,メッシュ作成の手間と間違いを防ぐ意味で長さの単位は [mm] と最初に決まります。構造計算で欲しい結果は,力 [N] や応力 [MPa] であるので,読み替え無しにダイレクトにこれらの値を計算結果から得られると便利です。以上のような動機から,質量密度の単位が次のように決められます。
鉄であれば,7880 [kg/m3] とすると,7.88E-09 [tonne/mm3] が解析で使用する値になります。
次に力の単位についてですが,これは長さ [mm] ,質量 [tonne] ,時間 [sec] と定義したので,
となります。つまり 1 [N] = 1 [tonne mm/s2] ですので,[tonne] - [mm] - [sec] を使っていれば力は[N]と考えてよいことになります。
次にエネルギーの単位を見ます。エネルギーは,力×距離です。
エネルギーは,長さの単位が [mm] になったことにより,計算結果をSI単位系に戻すには,1000で割らなければなりません。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、エネルギーの単位は、「ミリジュール」であることがわかります。
次に仕事率を見てみましょう。これは単位時間当たりの仕事ですので
となり,エネルギーが1000倍されている影響を残しています。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、仕事率の単位は、「ミリワット」であることがわかります。
以上が,熱伝導解析に使用するデータの単位を理解するための前提です。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、熱伝導率の値は、SI単位系と同じとなります。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、比熱の値は、SI単位系に1.0E+6乗じたものになります。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、熱流束の値は、SI単位系に1.0E-3乗じたものになります。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、熱伝達率の値は、SI単位系に1.0E-3乗じたものになります。
逆の流れを見てみます。
つまり tonne - mm - sec 単位系では、ステファンボルツマン定数の値は、SI単位系に1.0E-3乗じたものになります。
構造解析との連成に対応できるように,熱伝導解析の単位変換に馴染んでおくことをお勧めいたします。