当社は、非線形有限要素法構造解析の技術系解析コンサルティング会社です。
LS-DYNAには複数のシェル要素タイプが用意されていますが,タイプにより計算時間が異なってきます。
LS-DYNAに用意されているシェル要素は,全部で25種類あります。この中には,膜要素(membrane element)や2次元解析要素などを含んでいますので,実際にシェル要素として使用する要素はもっと少なくなります。シェル要素は解析目的に応じて使い分けることが必要ですが,一般的には,BT要素と呼ばれる,elform=2 のBelytschko-Tsay 要素が最も使用されています。この理由は,1点積分要素なので要素のロバスト性が高いことと計算コストが非常に低いためです。
最近では,計算機のCPUパワーが向上したので,Enhanced Assumed Strain タイプの完全積分要素である elform=16 のシェル要素も多用されるようになってきています。16番のシェル要素の特徴としては,完全積分タイプなので4つの積分点を有しています。そのため,普通に考えるとBT要素の4倍以上の計算コストがかかりますが,この要素は約 3.5 倍程度に抑えられているということです。すなわち高速な完全積分要素であるということです。
BT要素と16番の要素のどちらが良いかは,現場でじっくり検討してみないとなんとも言えませんが,まずは解析が最後まで流れるようになってから比較を考えても十分だと考えられます。
以下に,シェル要素のフォーミュレーションタイプと計算速度比を計測したグラフを掲載しますので,参考にして下さい。
横軸にフォーミュレーションを,縦軸にBT要素を基準とした速度比を示しています。
図 フォーミュレーションタイプ vs 計算速度比
上記のグラフは,参考例であり目安です。問題によってこの数字は変化するでしょう。